全国のドクター13,854人の想いを取材
クリニック・病院 156,767件の情報を掲載(2025年6月18日現在)

ドクターズ・ファイル会員でできること

予約情報をマイページ上で管理できます!

過去の予約を一覧化

予約内容の確認

予約の変更・キャンセル※

※一部対象外の医療機関もありますので、あらかじめご了承ください

会員登録がお済みでない方は

すでに会員の方は

  1. TOP
  2. 大阪府
  3. 大阪市天王寺区
  4. 四天王寺前夕陽ヶ丘駅
  5. 小出内科神経科
  6. 小出 泰道 院長

小出 泰道 院長の独自取材記事

小出内科神経科

(大阪市天王寺区/四天王寺前夕陽ヶ丘駅)

最終更新日:2025/05/13

小出泰道院長 小出内科神経科 main

大阪メトロ谷町線・四天王寺前夕陽ヶ丘駅から徒歩3分。天王寺の近くにありながら、住宅街と寺院に囲まれた静かな場所に位置する「小出内科神経科」。1980年に院長の父の小出秀達先生が開院してから、約37年間にわたり多くの患者に寄り添ってきた。院長の小出泰道先生は、日本のみならず世界的にも規模の大きい静岡てんかん・神経医療センターで、知識と経験を積んだてんかん治療の専門家。「てんかんは、その人の人生を大きく左右する病気。正しい診断が重要」と話す姿からは、患者に対する強い責任感が伝わってくる。そんな小出泰道院長に、詳しいてんかんの症状や患者、病気への思い、今後の展望について話を聞いた。

(取材日2017年6月14日)

豊富な知識と経験を兼ね備えたてんかんの専門家

この土地で開院された理由や、院長に就任されるまでの経緯をお聞かせください。

小出泰道院長 小出内科神経科1

当院は1980年に父が開院しました。戦前からこの場所の近くに住んでいて、空襲で家はなくなってしまったのですが、ゆかりの地に開院したと聞いています。下寺町、という地名のとおり周辺にお寺が多いのですが、昔お寺は相撲部屋の宿舎になっていて、大阪場所の時は境内でお相撲さんが稽古をするのをよく見に行っていました。副院長に就任するまでは、複数の病院で神経疾患の診療をしてきましたが、転機となったのは静岡てんかん・神経医療センターでの勤務です。とても規模の大きいてんかん専門病院で、数多くの患者さんがいらっしゃる病院ですね。専門知識が豊富なドクターの多い環境で7年間、さまざまな患者さんを診察し、てんかんについて多くの経験を積み、その後当院の院長に就任しました。

医師をめざされたのは、お父さまの影響でしょうか? 幼少期のエピソードを教えてください。

そうですね。小さい頃から真面目に働いている父の姿を見て、自然と「医師になりたい」と思うようになりました。いつからなのかは覚えていませんが、小学校の卒業文集を見てみると、注射器のイラストの横に「将来は医者になりたい」と書いてありましたね(笑)。小さい頃は本が好きなおとなしい子でした。中学生になると活発になって、高校ではラグビーを始めました。今も読書が大好きで、本は手放せないですね。国内・海外問わず古い作家の本をよく読みます。活字が大好きなんです。

患者層に特徴はありますか?

小出泰道院長 小出内科神経科2

新患は、9割以上がてんかんの患者さんや、医師にてんかんを疑われた、あるいは患者さんが自らてんかんを疑った患者さんです。ホームページの情報を見て、遠くから来院してくださる患者さんもいらっしゃいますので、現在は1ヵ月待ちの状態です。年齢層は10~30代の方が多く、小学生のお子さんも来院されますが、乳幼児のお子さんは特殊なケースもあるので小児のてんかん専門医師にお任せしています。

丁寧な問診で正しい診断と的確な治療法を探る

専門のてんかんについて詳しく教えてください。

小出泰道院長 小出内科神経科3

多くの方は、てんかんはけいれんして泡を吹くというイメージを持っていて、逆に言えばそのイメージしかありません。しかし実際は意識が曇って動作が止まるだけだったり、変な臭いがする、懐かしい気持ちになる、特定のイメージが浮かぶ、吐き気がするといった自覚症状のみが起こるケースもあります。脳のどこから発作が起こっているかによって、症状が異なります。けいれん発作が起きて病院に行き、そこで初めて自覚症状がてんかんの症状だったと結びつく患者さんも多いんですよ。人口100人あたり1人ぐらい患者さんがいると考えられていますので、日本にも100万人以上の患者さんがいると考えられています。誰にでも起こり得る、ごくありふれた病気だということがあまり理解されていませんね。

患者さんに接する上で心がけていることはありますか?

てんかんは一人ひとり症状が異なるため、初診の際は問診に1時間くらい時間を使っています。実際に「こういう発作でしたか?」と患者さんの前で実演して見せることもあります。発作が起きたときは、本人に意識がないことも多いので、その時近くで見ていた方と一緒に来てもらったり、次発作が起きたときにビデオ撮影をするようお願いし、正確な症状をつかむようにしています。発作のタイプや発症年齢、脳波の検査結果などからてんかんのタイプを判断します。このてんかんのタイプによって治療法が変わってくるので、まず最初にどんな発作をお持ちなのか判断することがとても重要です。てんかんのタイプによっても予想される経過が異なるので、そのことも患者さんへ説明しています。また治療に伴って生じ得る副作用の可能性や、金銭的な負担を減らすことができる医療制度についての情報も最初にお話ししています。

てんかんは一生付き合っていく病気なのでしょうか?

小出泰道院長 小出内科神経科4

必ずしもそうとは限らず、思春期を迎える前のお子さんの場合、成長の過程で発作が起きなくなるケースも多く見られます。どのようなタイプのてんかんで、どのように治療していくか、見通しを話して親御さんと経過を見ていくようにしています。思春期を過ぎて発症した方は薬を飲み続けないといけないことも多く、前院長がこのクリニックを開業する前に勤務していた病院から通院している患者さんもたくさんいます。治療との付き合いが一生続くケースもあり、その間に患者さんは就学や就労、自動車運転免許の取得、結婚や妊娠、出産といったいろいろな人生のイベントを経験し、医師に悩みを相談する機会も数多くあります。クリニックだと1人の医師がずっと患者さんと一緒に治療を進めていくことになりますが、長い経過を知った上で相談に応じることができるのは良い点だと思っています。将来を見据えて信頼できるお医者さんと治療を進めていくことが重要ですね。

てんかんの正しい知識を伝えていきたい

これまでで一番印象に残っているエピソードを教えてください。

小出泰道院長 小出内科神経科5

ある女性の患者さんの話ですが、その方は子どもの頃にけいれん発作が起き、病院でてんかんと診断されてからずっと薬を飲み続けていたそうです。しかし、面倒になってしばらく薬を飲まずにいたら、社会人になってからけいれんの発作が起き、子どもの頃に通院していた病院に行くと怒られたので薬の服用を再開しました。結婚して赤ちゃんを授かり、薬を飲んでもいいのか心配になって確認したそうです。すると、てんかんで通っている病院の先生からは量を減らして飲み続けるように言われ、産婦人科の先生からは飲むのをやめたほうがいいと言われたようで、僕のところに相談に来てくれたんです。けいれん発作が起きた状況を聞くと、てんかんではなく立ちくらみによる失神の症状でした。その患者さんは、薬をやめて無事出産されたのですが「誤った診断で人の人生を大きく変えてしまう。きちんと診断しなくてはいけない」と強く感じました。

いろいろな方法でてんかんに関する情報を発信していると伺いました。

てんかんは誤解の多い病気です。「一般の方に、少しでも理解が広まれば」という思いでブログ、短文投稿サイトなどのSNSを使って情報を発信しています。また、てんかんをお持ちの方へも「災害に備えて薬は1ヵ月分ストックを用意しておきましょう」といった内容を発信すると、コメントや質問など、反応が返ってくることもあります。啓発活動の一つとして、正しい情報を皆さんの目にふれるようにしていければうれしいですね。また、若い医師向けに、患者さんからよく聞かれる質問にどう答えるかをまとめた本も出版しています。これまでの経験を踏まえて、もっとてんかんを正しく診られる医師が増えてほしいという思いを込めて出版しました。他にも月に2、3回、医師向けの講演会やウェブセミナーの依頼を受け、主に問診に時間をかけることの重要性について話をしています。

休みの日はどのようにリフレッシュされていますか?

休日はほとんど子どもと遊んで過ごしています。8歳と4歳の男の子なのですが、特に下の子は何をするのか、何を言うのかわからなくて、見ているだけで本当に面白いですね(笑)。子どもとラグビーボールで遊んだり、一緒に釣りをしたり、ザリガニ捕りに行ったりして遊んでいます。

今後の展望や、読者へのメッセージをお願いします。

小出泰道院長 小出内科神経科6

てんかんは長期にわたって治療を必要とする社会的にもインパクトの大きい病気なので、これからも責任を持って診断していきたいと思っています。てんかん治療の専門家として、総合的に患者さんをサポートしていけたらうれしいですね。

Access